電子情報通信学会「思考と言語研究会」
オーガナイズド・セッション
原田 康也
早稲田大学法学部教授(英語担当・言語情報副専攻担当)
総合研究機構『情報教育研究所』所長
ご案内
情報教育研究所では以下の研究会のオーガナイズド・セッションの企画に協力しています。
- 日程・参加申し込みなど
- 日時:2004年12月11日土曜日 09:00-17:00
- テーマ:言語の学習・教育
- 会場:機械振興会館 地下3階研修1号室(120名定員)(東京)
http://www.jspmi.or.jp/map.htm
- 参加費など:無料(予稿集代:未定)
- 対象:どなたでも参加できます。
- 主催:電子情報通信学会「思考と言語研究会」
共催:早稲田大学 総合研究機構 情報教育研究所
- 開催趣旨
情報通信技術の教育・学習への応用として、 CALL (Computer Assisted Language Learning)・WBT (Web-based Training)・CBT (Computer-Based Testing)・CSCL (Comuter Support for Collaborative Learning)・CMS(Contents Management System) の活用など、一般的なe-learning の手法を外国語教育・外国語学習へと応用する試みが関心を集めています。
昨年度の研究会では、招待講演とパネルディスカッションにて、電子的な環境下における言語教育・言語学習を高度化する上で、コンテンツの開発・自動採点・学習履歴の分析などに音声合成・音声認識・機械翻訳・文献検索・文献要約などの知的情報処理研究の成果を活用する可能性と、こうした研究を支えるためのコーパスの構築やタグの標準化などについて議論しました。
今回の研究会では「言語の教育と学習」について、一般発表を募集するとともに、日本人英語学習者の実相、語彙の認知・学習、音声知覚と言語学習などについて、XML によるコーパスの構築、テスト理論を応用した既存試験結果の等化と経年変化の調査、メンタル・レキシコンの研究、音声知覚実験などの成果についてオーガナイズド・セッションを設定して、議論を図りたいと考えます。
- スケジュール概要
- 詳細スケジュール
- 12:30-13:05
エラータグ付き学習者コーパスから見る日本人の英語習得過程の分析
和泉絵美・井佐原均(独立行政法人 情報通信研究機構(NiCT)・神戸大学大学院自然科学研究科)
学習者の習得過程を明示的に把握することは,英語教育の改善のために重要な役割を果たす.本研究では,200万語の日本人英語学習者コーパスThe NICT JLE Corpusを元に,日本人の英語文法項目の習得過程解明を試みる.各学習者データに付与されている9段階の習熟度情報および文法・語彙エラータグ情報を用い,学習者の誤り分析を軸として解析を進める.分析で得られた結果を,従来研究において小規模データに基づいて明らかにされている習得過程と比較しつつ,考察する.
- 13:05-13:40
大学入試センター試験受験者英語学力の経年変化
吉村宰・荘島宏二郎(大学入試センター), 杉野直樹・野澤健・清水裕子(立命館大学)・斎藤栄二(関西大学大学院), 根岸雅史(東京外国語大学)・岡部純子(愛知県立大学), サイモン・フレイザー(呉大学)
調査にあたっては,平成2年から16年に出題されたセンター試験英語問題第2問(語彙・文法問題)の問題項目から100項目を抽出し,50項目からなる調査用テスト問題を2セット作成した。この調査用のテスト問題への解答データを用い共通受験者計画による等化を行った。調査結果に基づき,等化後のセンター試験受験者集団の平均値や標準偏差の推移に焦点をあて学力の経年変化を考察した。
- 13:40-14:00 休憩
- 14:00-14:35
第二言語の音声学習:知覚と生成および処理階層間の相互作用
山田玲子(ATR人間情報科学研究所/神戸大学大学院総合人間科学研究科)
話し言葉による外国語運用能力を習得するには、音声の基本的な要素である音韻、韻律などの知覚および生成能力が不可欠である。学習実験を通して日本人が英語音声の知覚や生成を学習する過程を探る研究の結果を紹介し、第二言語の音声知覚(聞き取り)学習と生成(発音)学習の関係、音韻処理、韻律処理、意味処理の関係について考察するとともに、これら基本要素の習得とオーラルコミュニケーション能力の学習の関連について述べる。
- 14:35-15:10
構造音韻論の物理実装に基づく学習者表象と発音学習支援
峯松信明(東京大学大学院情報理工学系研究科)
語学学習者の発音状況を記述する新しい方法論を提案する。本手法は構造音韻論の物理実装に基づいており,地球上に存在する20億とも言われる英語学習者一人一人を記述し,比較し,分類することを可能ならしめる方法論である。学習者を,対象言語音を生成する音韻論的システムと見なし,そのシステムのどの部位が対象言語を運用するに際して最も不都合を生じるのかを推定する。その部位が矯正対象であると考えれば,学習者一人一人に対して異なる発音学習プログラムが生成可能であることを示す。
- 15:10-15:30 休憩
- 15:30-16:05
言語処理の心内・脳内メカニズムを探る:日本語使役構文の事例から
伊藤たかね(東京大学)・萩原裕子(東京都立大学)・杉岡洋子(慶應義塾大学)
言語学的に様々な相違があることが知られている日本語の語彙使役(e.g.「並べる」)と-sase使役(e.g.「並ば>せる」)を取り上げ,その処理に関わる心内・脳内メカニズムを探る。2つのタイプの使役構文に異なるメカニズムが関与していることを示唆するデータを,失文法失語患者を被験者とする実験,および健常者を対象とする事象関連電位 (ERP) 測定実験の結果から紹介する。
- 16:05-16:40
メンタル・レキシコンにおける語意のメタ知識
今井むつみ(慶應大学)
[注意事項]
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First drafted September 2nd, 2004. Last update September 21th, 2004.